社員それぞれのおすすめ本を通じて、日々のインプットや仕事への想いを綴る連載「Think with BOOKS」。
今回、取締役CCOの西澤から紹介するのは、サイバーエージェント創業者の藤田晋さんの著書『勝負眼 「押し引き」を見極める思考と技術』です。
経営者としてだけではなく、麻雀リーグの創設や、競走馬の馬主、Jリーグチームオーナーと多くの顔を持つ藤田さん。
その押し引きや勝負眼について、学んだことや感じたことを書いてみたいと思います。
はじめに。
こんにちは。CCOの西澤です。
そもそも私は、いわゆる「ビジネス書」というものが
あまり得意ではありません。
なんだかいつも途中で手が止まりがち。
なぜってクリエイティブの仕事って毎回課題は全然違うし、
そもそも必ずしも正解があるわけでもない。
そこをうんうん唸ってアイデアを考えるワケですが、
そういう過程で役にたつ情報ってあんまりビジネス書に
書いてないんですよね。たぶんね。
クリエイティブ関連の本は結構読みますが、
あれはビジネス書と思ってないので。
とはいえここでご紹介するのにミステリー小説ってわけにもいかなそうなので、今回は2025年にサイバーエージェントの社長から会長になられた藤田晋さんの『勝負眼 「押し引き」を見極める思考と技術』を読んでみての感想を書きたいと思います。
藤田さんは麻雀のプロリーグ「Mリーグ」を創ってくれたので、
私からしたら神です。はい。なので読めます。
麻雀と仕事、さらには人生、共通点は多い。
知らない人のために、一応踏まえておくと、
藤田さんは大の麻雀好きです。しかも強い。
前述したMリーグの立ち上げはもちろん、
麻雀界において多大な影響力と発展への貢献、
いや、そんな言葉では片付かないぐらいの大きな存在です。
お気づきかと思いますが、はい、私も大の麻雀好きです。
弊社シー・エヌ・エスでも麻雀部があるぐらいです。
本書で紹介されている
藤田さんが麻雀にハマった理由が実にいいです。
「麻雀というゲームは世の中の縮図のようだ。この世と同じで不平等だ。
でもいい配牌(最初に配られる牌)のやつが勝つとも限らない。」
スタートの不公平さ:
麻雀は配牌が毎回異なり、最初から良い人と悪い人がいて不公平です。
人生やビジネスも、家柄や育った環境など最初から不平等な状態で始まります。
環境のせいにはできない:
与えられた不公平な条件や手牌の中から、最善の上がりを目指す。
不運を嘆くのではなく、配られたものの中で勝負する。
これこそ仕事と麻雀の共通点です。
将棋にしても囲碁にしても、
テーブルゲームでも、スポーツにしても、
大体のゲーム(試合)と呼ばれるものは、
公平な状態からスタートして、能力や技術、
戦術を持って、競い合います。
が、麻雀は違う。配牌(最初に配られる牌)は運でしかありません。
スタート時から実に不公平です。
不利な配牌(状況)からスピードで勝負するか。
特殊な大物手を狙っていくか。
完全にオリを選択するか。
有利な配牌の時はどうするか。
さらなる大物手でリードを奪うか。
そこそこの打点でスピードも加えるか。
われわれのビジネスも同様、例えば競合コンペだとして、
参加社すべてが横一線のスタートなんてことはほぼありません。
すでにクライアントと関係性を築けている会社、
会社規模や過去実績において頭一つ抜けている会社、
オリエン内容を一足先に知っていた会社、
担当者の好みや、決裁者の特性を熟知している会社。
言い出したらキリがありません。
しかし不公平を嘆いたところでなにも解決しません。
与えられた環境や情報で、どう勝負するか。
そしてどこでどう勝つか。でしかないのです。
勝つべき勝負を見極め、そこでしっかり押し切る。
そして、勝ち目のない勝負ではきちんと引く。
でしょうね。って思うかもですが、これが実際やるとなると難しい。
藤田さんも本書で下記のように語っています。
「これまでありとあらゆる重大局面で勝負に挑んできた。チャンスと見て大胆に攻めるばかりではない。必死で守ることもあった。組織のリーダーとして、むしろ守る場面のほうが多いかもしれない。麻雀では、細かなスキルや読みも大事だけど、結局は押すべき局面で押せるか、引くべき局面で引けるか、その「押し引き」が勝敗の9割を決めると言っても過言ではない。これは、ビジネスの世界にも通じるものがあると思う。」(「はじめに」より)
目の前にある大勝負。勝つか負けるかわからない。
勝ちに行くなら「強く押す」。引くなら「しっかり引く。」
これが基本です。引き分けを狙うような中途半端が一番良くない。
藤田さんはサイバーエージェントという弊社とは比べ物にならない規模において、これまた比べ物にならないぐらいのチャンスやリスクを、麻雀にも共通する勝負眼で「押し引き」しまくっているのです。
成功者としてのイメージが強いですが、そこには想像を絶する努力があり、
そしてそこから裏付けされる状況の判断力、決断力が備わっているのでしょう。
少し前になりますが2022年のサッカーワールドカップでは、ABEMAで全試合無料放送を敢行したのは記憶に残っている人もいるかと思います。
200億(推定)の放映権料払って、無料で解放ですよ?どんな大勝負なんでしょう。すごすぎる。※本書ではこの件は言及されていません。
きっとどう転ぶかわからなかった事案も数多くあるのでしょう。
そして、その裏には「きちんと引く」という撤退事業も数多くあるのです。
本書ではFC町田ゼルビアの買収の話や、馬主としての経験談、
さらには社内でのバレンタインデーやリモートワークなど、
小さいことから大きなことまで、その押し引きの決断と理由を紹介してくれています。
シー・エヌ・エスの経営に対する押し引き
私はシー・エヌ・エスに入って今年で14年。
入社から10年余りは事業部長の立場から、経営陣にあれやこれやと意見や注文を出し、判断してもらっていました。ありがとう先代のおふたり。
要は押し引きというよりは、押すべき場面で、押す判断を求めていたに過ぎません。それが3年前、取締役という経営に携わるようになってからは判断の連続です。押し引き自体を決めなければいけません。これが結構むずい。
私自身、麻雀好きが故に、大勝負にリスク承知で打って出る、
という性格に思われがちですが、実はリアリストです。
そりゃ無理だぜ、という勝負には打って出ません。
が、それは同時にチャンスを掴み損なっているかもしれないのです。
本書の中で藤田さんはMリーグを「団体戦」にしたのは
大正解だったと語っています。
個人競技だと「一か八か」で押せてしまうからです。
自分自身で責任とればいいという思考です。
企業活動も団体戦です。
私自身だけでなく、社員の生活もかかっていると思うと
自信のある判断しかすべきではないと感じるのです。
でも引いてばかりで安全な選択をしていても勝てない。
一か八か、ではなく、勝負眼を持って勝負する。
そのためには、経験と知識と、社内外の状況や社会情勢、
トレンドも含めた視野、それらを用いて「押す」のか「引く」のか。
勝負眼、研ぎ澄ませていきたいと思います。
人生は麻雀だ。
これは若いころ、父に言われた言葉です。
どんな親だよ。と当時は思ってました。
あれから30年、弊社の麻雀部創設時、
メンバーに対して放った私の宣言をご紹介します。
麻雀とはただのゲームではない。
四人で卓に座り、牌と真摯に向き合い、
与えられた配牌から、未来の上がりを紡ぎ出す。
その道中で遭遇する数々の物語。
確率なんてどこ吹く風の不運。
針に糸を通すような奇跡的な上がり。
自分を貫いても、他人の思惑ですべては覆る。
局地的な見解と、俯瞰的な視野。
時に強引に、時に柔軟に。
その立ち振る舞い全てが、
その先の未来に直結する。
麻雀は人生そのものだ。
最後に
本の紹介のつもりがなんだか麻雀愛を語ってるだけになってしまいました。
麻雀ってどうもアングラなイメージが拭えない。
戦後の闇麻雀、マンションの一室で行われる高レート、
煙がモクモクの雀荘、なぜか服を脱いでいくゲーセンの麻雀。
ギャンブルなんて。
そんな古臭くて偏見に溢れた視点だけじゃなくて
麻雀というゲームのビジネスにも通じる押し引き、
さらには人生の大事なことも教えてくれる奥深さ。
この本を読んで、そんなことを感じてくれたらいいな。
と書いたわけでもないのに勝手に思っています。
そして、Mリーグの仕事したいぜ!
藤田さんに、届け!